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「はとむぎ」の機能性

1、伝承的食品、 2、健康長寿の生薬、 3、免疫賦活作用 

1、伝承的食品「はとむぎ」

はとむぎの産地は、東南アジア(インドシナ半島)の内陸部とされ、中国では古来食糧として栽培されてきた。はとむぎは、後漢(西暦約100年~200年)の頃、馬援という人物によって種植されたといわれており、はとむぎの学名のma-yuenの語源にもなっている。当時は、はとむぎを米のように炊いたり、粉にひいて団子にしたりして食べていた。日本では、江戸時代に小石川薬園において徳川8代将軍・吉宗によって国産奨励されてとする見方が有力になっている。

2、健康長寿の生薬「はとむぎ」

中国では、古来からはとむぎは貴重な滋養の高い食糧として認められていた。「後漢書」の中の「馬援伝」に、馬援将軍がはとむぎを愛用したことから70歳を超す年齢になっても遠征から元気に帰還したという記述がある。また2~3世紀ころに記された医学書「神農本草経」では、はとむぎの脱穀した子実である「ヨクイニン」は上薬に区分されている。上薬とは、「身体を快調にして不老長寿に効果があるもの」という意味である。

3、免疫賦活作用「はとむぎ」

江戸時代の「経験千万」という書物には「イボをとるには、はとむぎ茶を飲むと良い」と記載されている。はとむぎが、水イボに効果があることに関して、我が国ではおおくの論文がみられ、症例報告としてコンジローヌに対する有効性も報告されている。作用機序について完全には解明されていないが、免疫賦活作用が関与している可能性が高い。

4、「はとむぎ」の機能性

左図の成分比較表を見ても、はとむぎは、非常に滋養性が高い食品であることがわかる。以下、はとむぎの現在わかっている機能性について説明する。

①イボとり

江戸末期の「経験千万」という書物には「イボをとるには、はとむぎのお茶を飲むとよい」と記載されている。現在でも、祖母から「イボとりにははとむぎ茶を飲め」と言われたという経験を持つ人がいる。実際、臨床的にもはとむぎのイボとり効果が報告されている。

②美肌・美白

はとむぎが、肌の美容に良いことは早くから知られ、中国では古代宮廷料理の代表的食材の一つであった。はとむぎの熱水抽出物(お茶)が顔面皮膚の色素や紅斑度を減少し、いわゆる透明感のある肌になることや爪の状態を改善することを2重盲検臨床試験で確認されている。さらにシミのうち肝斑にも有効であるという報告がある。¹)

③にきび

「養生訓」で有名な江戸時代の医師、貝原益軒が編集した「大和本草」には、「ひどいニキビには、ほとむぎを煎じて飲むと効果がある」と書かれている。はとむぎの抗菌作用や免疫賦活作用が関与していると考えられる。

④抗腫瘍・がん予防

はとむぎの抗腫瘍・がん予防については数多くの報告がある。中国では、はとむぎの抗がん剤(kanglaite)が開発され数十万人に使用されている。日本でもがん予防効果について報告されている。²)

⑤利尿作用・抗浮腫

はとむぎの利尿作用については、古くから知られており、はとむぎ茶で効果が得られる。利尿効果は、足、手、顔などに浮腫がみられる人に顕著に表れ、浮腫が軽減すると利尿がみられなくなることから利尿剤とは異なるメカニズムと考えられる。はとむぎは、急性・慢性腎炎ネフローゼや腹膜透析患者にも利用されている。

⑥抗寄生虫

はとむぎは、トキソプラズマという寄生虫に対して有効であるという報告がある。トキソプラズマは妊娠中に感染すると、胎児の網膜炎や水頭症を引き起こす場合がある。

⑦抗肥満

はとむぎは、脂肪細胞の分化を抑制し、抗肥満効果をもたらすかも知れないという基礎的データがあり、メタボリック症候群の改善に期待が持たれている。

⑧骨粗鬆症

2013年、はとむぎが、マウスの実験において骨粗しょう症に有効であるとする報告が発表された。メカニズムについては骨芽細胞の増殖促進作用にあると考えられる。

⑨肩こり

はとむぎの有効成分の一つであるコイキソールは、腰背部痛・肩関節周囲炎・変形性脊椎症などに用いられているクロルゾキサゾンと同じ中枢性の筋弛緩作用を有しているとする報告がある。

⑩冷え性

はとむぎは、中医学的には体を冷やすとされ、熱がこもりやすい湿熱質の人には適しているが、冷え性のひどい人には用いにくいとされていた。しかし、90名に行った二重盲検臨床試験によれば、殻付はとみぎ熱水抽出エキス(はとむぎ茶)は、冷え性を有意に改善することが分かった。¹) したがって市販のはとむぎ茶も冷え性に有効であるといえる。

⑪不妊症

司馬遷の「史記」(紀元前1世紀)には、最古の王朝である夏の建国者である禹の母が、はとむぎを愛飲して禹を身籠ることができたとの記載がある。近年になり、はとむぎの卵胞成熟や排卵を促進する有用成分としてtrans-stigmastanolが単離されている。

⑫月経困難症

はとむぎは、月経困難症に効果があるいう民間伝承が存在するが、最近、はとむぎの外殻が子宮収縮を抑制するとことが報告され、月経困難症に有用な可能性があると考えられる。

⑬抗炎症

はとむぎの抗炎作用についての報告は多く、最近も報告されている。²) また抗炎症をもたらす幾つかの有効物質(caffeic acid,chlorogenic acid 等)も報告されている。

⑭抗アレルギー

はとむぎの抗アレルギーに関しても多くの研究報告がある。³)

5、「はとむぎ」と妊婦?  「国産はとむぎ」安心です

古来、妊娠初期のはとむぎ摂取は、流産の危険性があるので摂取は控えるべきであるという伝承があったが、はとむぎ研究の第一人者である金沢大学大学院の鈴木特任教授(産婦人科医)等は、流産が誘発されたとすれば、はとむぎに発生したカビ毒(マイコトキシン)であるergot alkaloidによる子宮収縮作用によるものであると指摘している。国産はとむぎは、栽培・収穫・流通・保管管理(トレイサビリティ)がしっかりしているので、安心・安全である。海外の管理不十分なハトムギからは、カビが検出されている報告がある。⁴) バイオホワイトフード㈱が、「国産はとむぎ」にこだわる理由のひとつです。

さらに最近、はとむぎのラットを用いた経口投与生殖毒性試験が、綿密に実施された。国産はとむぎを餌に1.25%、2.5%、5% 混ぜて摂取させても、流産、早産率、奇形率などに有意な差は認められなかった。⁵) この実験から、国産はとむぎを体重50kgの妊婦が、炊いたはとむぎを一日当たりお茶碗2杯強摂取しても大丈夫ということになる。国産はとむぎは、普通の食材と同じように度を超えた使用をしない限り妊娠中でも安全な食品であると考えられる。

しかし、妊娠中のハトムギエキス製剤(薬)の使用に関しては、薬の添付文書にあるように、医師に相談して内服することが肝要である。


参考資料

¹)鈴木信孝ら:ハトムギ抽出エキスと女性のQOLに関する二重盲検臨床研究、日本補完代替医療学会集会プログラム・抄録集、14、46(2011)

²)鈴木里芳ら:ハトムギの抗腫瘍ならびに抗炎症作用に関する検討、日本補完代替医療学会誌、10(2)、75-85(2013)

³)太田康之ら:補完代替医療(10)ハトムギ・サプリメント素材としての研究の現状、総合臨床、54(12)、3199-3201(2005)

⁴)Kong W et al,:Occurrence of toxigenic fungi and determination of mycotoxins by HPLC.FLD in functinal foods and spices in China markets, Food Chem, 146,320-326(2014)

⁵)篠田有希ら:ハトムギのラットを用いた経口投与簡易生殖毒性試験、Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)、35(1)67-70(2007)

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